高校生になって、体もすっかり大人のかたちに成熟して、しかも毎晩夜尿があるということは、神経内分泌系の発達障害の段階は通りこして、心身症としての夜尿の状態になっているものと考えられます。
本人もあきらめてしまい、性格も暗くなりつつあるというのですから、夜尿がかなりのストレスとなっていることも予測されます。
おそらくは、小学生のころは夜間の抗利尿ホルモンの分泌系不足による難治性夜尿症で、通常の薬物療法も効かなかったのだと思います。
その内に中学生、高校生となり、夜尿自体がかなりのストレスとなり、次第に性格も暗くなり、内向的になってきたのでしょう。
このようなときは、まず精密検査を行い、一番効果的な治療法を決め、それと平行して心理的ストレスを軽くするためのカウンセリング(精神療法)を受けることが必要と思われます。このような場合、薬物療法としては抗利尿ホルモンの点鼻薬が効果的です。まず、治療期間中は完全に夜尿をなくすようにすることが先決です。
夜尿はなおるんだという実感のもとに、カウンセリングを受けることが不可欠だということです。そのうちにストレスが次第にとれてきて、自分の力でホルモンのリズムができはじめ、休薬期間中の夜尿も減少して、ついにはなおっていくということが多いのです。ですから、あきらめないで、必ずなおるという確信のもとに、夜尿症の専門機関で相談すべきでしょう。
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